緋の想い
hi no omoi

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 秋の色合いが山を、里を、ゆっくりとした足取りで染め始めている。夏の暑さはもうどこにもなく、名残惜しげに村人達が着る麻の着物が、そろそろ風を通して肌寒さを感じさせるようになってきた。山々を見渡せば濃かった緑も大分くすみ、あちらこちらに気の早い紅葉も見られる。緑と黄と赤が織り成す色彩は、少し透明感の増した蒼のもとで鮮やかに映えていた。
 あれから一週間、かごめはいまだに目を覚まさない。



 軽く戸を叩く音がして犬夜叉が振り向くと、少し開けた板戸の隙間から七宝がひょこりと頭を覗かせていた。鼻から上だけを遠慮がちに出した格好で、今よいか、と小さく尋ねる。おぅ、とこちらも小さな声で応ずると、七宝は両腕に薬草を山盛り盛った籠を抱えながら、危なっかしい足取りで小屋の中に入って来た。
「…かごめは、まだ目を覚まさんのか」
 籠を犬夜叉の脇によいしょと置くと、七宝は今だ眠り続けるかごめの顔を覗き込んでぽそりと言葉を漏らす。深手を負った体が消毒液と薬草の香りに包まれてはいるものの、かごめの表情はどこか穏やかに凪いでいた。まるで軽く居眠りでもするように瞼を閉じたまま、けれど一度足りとも目を覚まさない。
 七宝は何も言わない犬夜叉をじっと見詰めていたが、やがて諦めたように小さく溜息を吐くとそっと音を立てぬようにまた立ち上がり、戸口へ向かった。犬夜叉の背後で戸が開き、また閉められる。――こんな光景が幾たび繰り返された事だろう。
 血を滴らせるかごめを抱いて帰って来た犬夜叉は、あれから片時もかごめの側を離れようとはしない。事情の一部始終を知っている他の仲間たちも、今回ばかりは敢えてかごめの看病を買って出る事はせず何も言わなかった。母屋から離れた庵に引き篭もり、こうしてずっとかごめを見守り続ける犬夜叉と、一日に会話を交わす者といえば薬草や軽食を運んで来る七宝くらいのものか。けれどその折角の軽食すら、手をつけられる事の無いまま、また七宝に持ち帰られる事がほとんどだった。
(どうなってしまうんじゃろ…)
 戸口の表で暫く佇んでいた七宝は、随分と涼やかな色になった空を見上げながら心中でもう一度溜息を吐く。奈落が消え、風穴が消え、琥珀の遺体の弔【とむら】が終って…井戸の向うでかごめの小さな弟が笑ってもなお、何もかも終った感慨はどこか悲しくて重い。何かが欠けたままいきなり目の前に開けたがらんどうの道に、一行の誰もが戸惑いを隠せないでいた。それは唯一奈落と何の関わりも持たなかった七宝にまでも寂寥とした思いを与え、まだ幼い童である彼は皆の気持ちを察したまま何も言えずに沈黙を貫いている。
 そういえば二日ほど前、見慣れぬ泣黒子【なきぼくろ】の男がひっそりと村を出て行ったのを見た者がいると、ちょっとした噂になった。それが、なれの果ての奈落の姿だったのだろうか。今となってはもう確かめようのない事実だったが、きっともう四魂の玉がこの世に現れないであろう事だけは、確かだった。あの男が如何して最後に人の姿を望んだのか、それともただ不可抗力の結果そうなったのか、それは誰にも解らない。
(本当に、どうなってしまうんじゃろ)
 七宝は、自分ではどうする事も叶わない悩みに頭を一振りすると、とぼとぼと項垂れて歩き出す。その様子を天蓋を巡る鷹が一羽面白そうに眺めていたが、けれど暫くするとまた興味を失ったように飛び去ってしまった。その枯色の両翼が薄空の丹青と哀しげに馴染んで、やがて訪れ来る秋の気配を見る者の心に寂莫と沁ませてゆく。
 皆が心から笑える日は、一体いつ戻って来るのだろうか。



 七宝の気配が戸表から消えると、犬夜叉は漸く顔を上げて戸口を振り返った。どう気を使っても心を開かない己に、七宝は今頃肩を落として母屋に向かっているだろう。それを思うと胸がちくりと疼いたが、それでも犬夜叉に彼へ笑顔を向けてやる余裕は無かった。済まなさそうに少し吊り眉を顰めるが、それだけでまた直ぐ視線を前に戻し、固く瞳を閉じたままのかごめの顔に目を据える。表情は柔らかいもののその顔色は随分と蒼褪めて、このままでは何時までももたないのは明白だった。一週間食べ物を摂っていないかごめの体は、半妖である彼の数倍ものスピードで痩せ衰えてゆく。半年も経って漸くもとの鴉色を取り戻した黒髪が、彼女の頬に薄っすら出来た影をより色濃く見せていた。その小さな耳朶に光る幾つかの赫い石だけが、彼女の耐え抜いた痛みを訴えるかのように、時々煌【きら】めいて光を弾く。
 悲しいという感情も、辛いという感覚も、今はもう残っていなかった。ただ、目の前に横たわる少女を夜も昼も見守り続け、いつか瞼が震えぬかとずっとそればかりを考えている。
 もう、限界なのだろうか。
 五十年前に儚く潰【つい】えた己の幸せは、時を越えた目の前の少女が再び運んできてなお、今また指先が触れる寸前で消えようとしている。このまま一生独りのまま…かごめの命も救えぬまま、後悔だけに塗られた人生を送るのだろうか。それともその前に孤独に胸を掻き切られ、気を違えて化生に堕ちてしまうだろうか。
 俯けば紅赫に流れる己の水干が目に入る。その鮮やかな筈の色が今は血色に毒々しく、己を嘲っているように思われて、犬夜叉は垂り頚の諸鉤をぎりっと握り締めた。木格子に割かれた日の光が差し込んで、彼の白銀を零れるように照らし出す。
 苦しい。今自分で締めている袷以上に、孤独な予感に押し潰される胸蓋が苦しかった。けれど…。
(…そんな事はどうでもいい)
 諸鉤を掻く指をゆっくりと解き、俯いたまま己が指先に閃く白い月を見る。
 命を奪う事、散らす事、そんな事は容易い。けれどどれほどこの爪を振り翳しても、薙ぎ払っても、引き千切れそうな玉の緒は繋ぎ留め切れないのだ。ならば、この役立たずの己が命ごと、擲【なげう】ってしまっても構わないではないか。
 自分の一生を、喩え暗黒の淵に沈めてしまおうとも、凝った澱【おり】に篭めてしまおうとも、それで目の前の少女が再び目を覚ますのならそれもいいだろう。己の犯した罪だ、贖うのは己のみでいい。この身など幾らでも捧げてくれるのに。
 けれどそう幾ら乞い願ったところで、愚かな妖かしの叫びなど聞き容れられる筈もなく、ただ虚しく空に散じて消えゆくだけ。目の前の命さえ紡げないこの獣爪など、矮小なただの飾り物に過ぎないのだ。幼子の慰みになる玩具の方が、まだ幾らかましかもしれない。…それでも、そうだと解っていても願わずにはいられなかった。
(頼むから…)
 頼むからもう一度瞼を開いて欲しい。
 それはもう幾百度となく心の中で叫んだ言葉。
 彼女を引き裂いた己を彼女が恨んでも、そのまままた彼女の世界に戻って二度と帰っては来なくても、それでもいい。ただ彼女がその瞳でもう一度この世界を眺めてくれるなら、どこかで誰かにその笑顔を見せてくれるのなら、己はどうなってしまおうとも構わないのに。ただ、彼女が生きているのなら、その為になら――喩えその笑顔を自分のものに出来なくとも良い、何もかも捨てられる。
 だからもう一度、瞼を開いて欲しい。
 五十年前に出会った巫女。あれはかごめで、かごめの前世で、そして彼女はまた時を越えて戻って来てくれた。今も昔も、自分はただ一人の女を求め続ける。それが昔は桔梗という名で、今はかごめという名で…けれどそんな事はもうどうでもいい。
 愛している、目の前の少女を。
 かごめという名の娘を、愛しているのだ。あの笑顔を、匂いを、全て。
(そんな簡単な事なのに…)
 どうして自分は気付かなかったのだろう。こんな、かごめがこんな状態になってしまうまで。
 けれどそのまま途轍もなく深遠な淵に落ち込もうとした犬夜叉は、はたと我に返って頭【かぶり】を振る。やはり自分は愚かだ、白銀を掻き回しながら犬夜叉は自嘲気味な笑みに唇の端を吊り上げた。震えを湛える情けない掌を無理矢理脇に沈め、金の双眸を眇めて思考を凪がせる。鄙【ひな】びた古い木の芳香と薬草の香りは絡まり合って、何ともいえず緩【ゆる】い空気を庵中に垂れ流していた。ゆったりと、とろりと拡がる温かい光。
 ―――まだこんな下らねぇ事ばかり考えてんのか、俺は。
 自分が一度嵌まり込んでしまった運命を、悔やんでも呪っても、決して後戻りすること叶わないのは、もう十二分に解った筈では無かったのか。今こうして細い息を必死に繋ぎ止めているかごめを目の前にして、安穏と生を享受している自分が、何を後悔したところで意味がないのはわかり切っている。死との最後の戦いに、たった独りで臨んでいるであろう彼女に、今自分がしてやれる事は何も無いのだ。それを自虐的に悔やんだところで、嘆いたところで、過去志向的な想いは彼女の未来を紡ぎ出しはしない。いや…むしろその逆だと、己は解っている筈だ。五十年前の事はもう昔の思い出に過ぎないなどと割り切れる類いの物ではない、自分も…自分の愛した女も、その歯車の中で此処まで狂ってしまったのだから――。
 ならばせめて…信じてやるしか、ないではないか。彼女と逝ったあの昔、死に損った自分に出来なかった事を。
 金箔に縁取られた漆黒の爪月が、緩やかに撓【たわ】む。犬夜叉は漸く震えを治めた掌を緩【ゆる】く綻【ほころ】ばせた。そのまますっと腕【かいな】を伸ばして彼女の頬に触れれば、それは意外な程に温かい温もりを伝えてきた。自分の白銀の髪がさらりと零れて彼女の漆黒と混ざり合う。柳眉の下で軽く閉じられた双眸は美しい睫毛に彩られて、それはまるで彫刻のように端整だけれど、彫刻のそれより遥かに柔らかく、遥かに優しい曲線を描いている。そのまま指先を滑らせると、細かな産毛が心地良く指の腹を撫でた。ゆっくり、確かめるようにかごめの造作を辿りながら犬夜叉は思う。
 蒼褪めているように見えて、彼女の肌も、眉も、唇も、こんなにも…力強い。
 それは苦痛に歪められる事もなく、ただ何処までも真っ直ぐに死へと立ち向かってゆく凛とした表情。
 彼女の生に、己は立ち入る事が出来ない。手助けする事も出来ない。それは天賦の法則で、喩えどんな強大な力を持つ妖かしの己とて、壊しようの無い事実だ。けれど一つだけ…強く強く信じてやる事だけならば、今の己にとて出来る。…否、今の己だからこそか。
(待っているから)
 いつまでも、いつまででも。俺は此処で待っている。
 やっと見つけた、己の中の尽きる事のない泉。乾いた心の砂に染み渡るのは、ひんやりと冷たい、湧水のように豊かな感情。
「…愛してる、かごめ」
 今はまだ、彼女の耳に届かない言葉だ。それを、未来への確約を取り付けるように呟くと、犬夜叉はかごめの開かぬ瞼に小さく一つ…口付けを落とした。
 白銀と漆黒がさらりと分かれ、犬夜叉はゆっくりと身を起こす。そのまま腰紐に挿した刀を鞘ごと引き抜いて、静かにかごめの脇に添え置いた。床に当たった鍔【つば】が、かちゃりと小さな音を静かな庵に響かせる。板戸の隙間から、埃をきらきらと弾く光が真っ直ぐに差し込んでかごめの肩口を照らし出した。
 かつて己の母を守ったという父の牙は、彼自身の牙となった今自分の愛しい女【ひと】をも守ってくれるだろうか。只の錆刀に見えるそれが、けれどきっと彼女と自分とを繋ぎとめてくれると、そう信じたい。
 ぱた、ぱた、と小さく土を蹴る音が遠くから近付いてくる。七宝がまた、昼の握り飯の残りでも運んで来るのだろう。さっき邪険に扱われた事を気にしてか、何時もの彼にも似合わずゆっくりとした足音だ。きっとまた気まずい思いをせねばならぬと予想して気が乗らぬのに違いあるまい。下を向いたまま唇を尖らせて、わざとのろのろ歩く七宝が目に浮かぶようだ。犬夜叉はゆったりとした動作でもう一度かごめを眺め遣ると、水干の裾を絡げて鷹揚に立ち上がった。擽るような衣擦れの音が流れる。
 そのまま戸口へ向かい板戸を開くと、がらりという呑気な音と共に鮮烈な陽の光が一気に飛び込んできた。幾日かぶりにまともに見た陽光に、犬夜叉は思わず一瞬目を眇める。重たげな重箱を抱えた七宝が、驚いた様な顔をして立ち止まるのがまだ遠くの方の景色に見えた。
「おい、七宝…」
 ―――。  けれどそう掛けかけた言葉は、思わず呑んだ息と共に尻すぼまりで落ち消える。

   ――――う…ん……。

 犬夜叉が振り返る。
 真珠の髪が、翻って太陽の光を眩しく弾いた。水干の緋が、目に沁みるように赫い。
 ………。
 彼女の少し血の気の引いた唇が、微かに言葉を形作る。それは掠れて声にはならず、耳朶に届く事はなかったけれど。
 けれど犬夜叉は確かに聞いた。
 彼女の柔らかい声紋が、波を描くように揺れて己の名を紡ぎ出すのを、確かに。
『犬夜叉…』
 眩しげに一度瞳を瞬かせた彼女は、直ぐまた眠たそうにゆっくりと瞼を閉じてしまう。けれど、一瞬間を置いて唇から洩れた吐息は本当に穏やかで、もう何の憂いも無く…かごめが幾度か胸を上下させると、それは静かな寝息へと変わっていった。
 ぽた、と何かが落ちて水干に小さく染みを作る。陽に晒された背中が温【ぬく】い。
 くしゃりと顔を歪めた犬夜叉は、暖かい秋の光を背に浴びながら、生まれて初めてぎこちなく微笑んだ。



「ねえ、婆さん」
 ようやく白湯を飲めるようになったかごめのために鍋を掻き回していた珊瑚が、ふと手を止めて向かいの楓に声を掛ける。弥勒も七宝も、秋の丁度良く乾いた薪を拾いに色づく山へと出掛けてしまった。犬夜叉はまだ離れの庵に入り浸ったままだ。数日ずっと喧騒に湧き返っていた母屋も、今は久方振りに静けさを取り戻している。けれどそれは笑顔の名残を隅々に残した、心地良く丸みを帯びた静けさだ。
「何だね、珊瑚」
 薬草を揉んで湿布の布に並べていた楓も、手を止めて珊瑚の方に顔を上げた。出会った当初から比べれば、老巫女も随分と皺を深くしたように思われる。日に灼けた肌はあちこちに谷を刻まれて、彼女の年輪の厚さを知らしめていた。
 けれどその老いの面影すら、今は柔らかな表情に和らげられてなりを潜めている。
「あの二人…どうなるんだろう」
 晴がましい気持ちが少し凪いだ今、それでもしつこく残っていた不安の滓がちりちりと燻【くすぶ】りを再開する。それはきっと皆が出会った時から始まった一抹の不安で、まだ解決はしていない。
「四魂の玉も無くなって…かごめちゃんは現代に帰らないといけないんだろ?犬夜叉は半妖のままだし、いつまでもこのままでいられる訳がない」
 琥珀はやっぱり逝ってしまって、命ごと取り返すことは叶わなかったけれど、それでも自分はもう満足している。押し寄せてきた悲しみも、永遠に弟が幻に囚われ続けたかもしれないことを考えれば、もうそれ以上疼きはしなかった。弥勒とてそう、風穴が失せて日が浅く今だ随分と生白い掌を思い切り外気に晒しながら、きっと生まれて初めての穏やかな日々を甘受しているに違いない。
(だけど…)
 自分は今幸せだ。それはいい。
 本当に今、今まで無かったくらいに…まるで退治屋の里にいた頃のように心が落ち着いている。日常のあれこれに心が行き届く。けれどだからこそ、一点だけどうしても残ってしまった不安が、思い切り悪くいつまでも心の隅にへばり付いているのが気になって仕方なかった。
(かごめちゃんと犬夜叉は…幸せになれる?)
 目の前で急に考え込み始めてしまった珊瑚を、楓は穏やかな表情で眺めやる。年頃の娘によくある漠然とした不安に、手練れの退治屋の娘も少し囚われてしまったらしい。若い、瑞々【みずみず】しい悩みだと、楓は少し微笑ましく思う。
「…なに、心配することはない」
 どうして、と首を傾げて問う娘を眦に捉えながら、楓はゆっくりと腰を上げて戸口の筵を絡げる。切り取られた景色が、透明な空気を通して紅に、黄に、鮮烈なまでの色彩を見せていた。涼やかな風が舞い込んで珊瑚の首筋を撫で、幾筋かの毛束をゆるゆると靡かせる。
 初秋の穏やかな昼下がり。

(なに、心配することはない)
 もう一度心に呟いて、楓はゆったりと視線を遠くへ流す。どこからか、からからと薪を揺らす音と子狐の戯れの笑いが聞こえて来た。後ろで訝しげに眉を顰めていた珊瑚も、耳に捉えた二人の声に早くも興味を移したようだ。
(そう、それでいい)
 お前たちは若い。年老いた自分には難いことも、お前たちになら易いだろう。
 居場所を求め続けた半妖の少年と、時を越えて巡り逢った未来の少女。
 …そして彼らもまた、どこまでも若い。
(乗り越えられるだろう、何があっても)
 惹かれ合って、求め合った二つの魂―それはきっと運命にも御しきれなかった強く燃える想い。五十年前も、そして今も、あの二人の魂はお互いを求めて続けて止むことが無い、きっとこれからも――永遠に。
 だから、心配することなどないのだ。

 喩え時の大河が二人を阻もうとも。
 喩え運命の輪が二人を分とうとも。

 赫い、この秋の紅葉のように燃える、燃える、熱い想い。
 緋色に耀く、命を賭して…途切れることなく。

 それは春の萌芽をも、夏の陽差しをも。
 それは秋の紅葉をも、冬の粉吹雪をも。

 燃やし続けて、永遠にずっと…ずっと。  ―――緋色の想いを、耀かせてゆく。






完.




「緋の想い」、半年近くかけてようやく終わりを迎える事が出来ました。
 元はと言えば、18巻のシーンにイマイチしっくり来なかった蓮奈が、無謀にもかごめちゃんが帰らなかった設定なんぞを打ち立てたのが始まりです。けれどそれがここまで長く続いてしまうとは思ってもいませんでした。
 うーん、分からぬものです…(遠い目)。
 恋愛感情の複雑さ――、かごめも犬夜叉も、桔梗も、奈落も、そして弥勒と珊瑚も…「犬夜叉」の中には色んな「ラヴ」の形があると思います。
 捻くれた愛も、真っ直ぐな愛も、素直になれない愛も、みんなとっても大切なのだなー、と思ってしまう今日此の頃。
 はっきり言って、年です。…ぐは。高校時代に戻りた〜い…(泣)

 何にしても、二章以降は兎も角として、一章………ど、どうにかせねば、書き直さねばぁぁっ。
 いい加減恥ずかしくなってまいりました…しくしく。

 ここまで「緋の想い」を書き続けてくるに当たって、いつも温かい励ましの言葉と広い懐をもって蓮奈を助けて下さった「いぬ漬」管理人、あず様。
 投稿途中にサイト開いちゃったり、小説滞納しちゃったり…本当に沢山の迷惑をお掛けしたのに、いつも何も言わず優しく受け入れて下さいました。
 ずっと見守ってくださって有難うございます、そしてこれからもどうぞ蓮奈を可愛がってやって下さい。
 大好きな大好きなあず様に、最大の感謝と御礼を――。



「宵の夢址」管理人:梅梁 蓮奈



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